日本モンゴル文学会は、日本でモンゴル文学を鑑賞したり、研究したいと思っている方々、あるいは世界の諸文学に興味をいだいて、モンゴルの文学も知りたいと思う方に、正確な情報を提供し、それらの方々が互いの研究成果を自由に交換し、また親睦を深められるようという目的で設立されたものです。勿論、将来は、モンゴル人(モンゴル諸族の)文学者や文学研究者とのネットワークを作りあげていきたいとも考えています。とりわけ、劣悪な出版状況の下で文学的な営為を続ける人々に電子的な発表の機会を与えることができたらと、願っています。

 この会の母体となっているのは、旧大阪外国語大学モンゴル研究会文学部会(設立1972年)です。現在、モンゴル研究会は、大阪外国語大学という枠を越えて、大学の名前を冠さない、開かれた「研究会」として発展し、「モンゴル研究」という質の高い、ユニークな雑誌を発行しています。しかし、モンゴル研究会では文学部会としての活動はしておりません。若い研究者や学生の中には、文学部会の再開を願う声が数年前からあがっておりましたが、残念ながら、中核となるべき、文学プロパーの研究者が、日本中に散らばってしまっているため、実際に一同に会して、勉強の集まりをもつことは非常に困難でした。そこで、このインターネットという、ヴァーチャルな空間を利用できないだろうかと考えたわけです。このヴァーチャルというのは架空という意味ではありません。実質上のという意味です。

 現在では、東京外国語大学、大阪大学(旧大阪外国語大学)ばかりでなく、北海道大学、清泉女学院大学、東京大学、一橋大学、日本大学、新潟産業大学、静岡大学、国立民族学博物館、内モンゴル大学、内モンゴル師範大学、モンゴル国立大学、ウランバートル大学(現国立大学)、モンゴル国立科学アカデミーなどの研究者、学生、またモンゴル作家同盟の作家たちやモンゴル文学を愛好する市民が自由に意見を交換する場になりました。

 勿論、前述のモンゴル研究会の他、日本モンゴル学会という立派な組織が既にありますが、それは、大枠でのモンゴル学を対象とするもので、固有の文学研究を扱うものではありません。また、文学というものの性質上、翻訳紹介の他にも所謂、学問的なアプローチ以外の接近方法も考慮にいれねばなりません。ですから、既に様々なグループに属しておられる方々の中でも、文学を他の学問領域に還元するのではなく、文学そのものの価値において研究しようとする方、そして、ただ、モンゴルの文学を楽しんでみたいと思われる方、どなたでも、参加していただきたいと思っております。